弾力性を計算するための中点法
需要の弾力性を計算する際、需要曲線の2点を基準にすると、点Aから点Bへの計算と点Bから点Aへの計算で異なる結果が得られます。中点法はこの混乱を防ぎ、点Aから点B、または点Bから点Aのどちらの場合でも、価格変化に対する消費者の反応が同一であることを反映します。
中点法を使用した弾力性の計算
従来の変化率計算は、変化を初期値で割る方法ですが、中点法では、変化を初期値と最終値の平均で割ります。以下の例で説明します:
需要グラフ上の次の点を仮定します:
- 点A: 価格 = 10、需要量 = 100
- 点B: 価格 = 15、需要量 = 80
点Aから点Bへの弾力性:
需要の価格弾力性の公式を使用します:
\[ E_d = \frac{\left( \frac{\text{最終需要量} - \text{初期需要量}}{\text{初期需要量}} \right)}{\left( \frac{\text{最終価格} - \text{初期価格}}{\text{初期価格}} \right)} \]
値を代入します:
\[ E_d = \frac{\left( \frac{80 - 100}{100} \right)}{\left( \frac{15 - 10}{10} \right)} = \frac{-0.20}{0.50} = -0.4 \]
したがって、点Aから点Bへの弾力性は-0.4です。
点Bから点Aへの弾力性:
次に、点を逆にして計算します(点Bから点Aへの場合):
\[ E_d = \frac{\left( \frac{100 - 80}{80} \right)}{\left( \frac{10 - 15}{15} \right)} = \frac{0.25}{-0.3333} \approx -0.75 \]
したがって、点Bから点Aへの弾力性はおよそ-0.75です。
このように、需要の弾力性は対称ではありません。点Aから点Bへの計算では-0.4、点Bから点Aへの計算では-0.75となります。
この違いは、各場合の基準値が異なるためです。次に、中点法を使用して弾力性を計算します。
需要の価格弾力性の公式(中点法):
\[ E_d = \frac{\left( Q_2 - Q_1 \right)}{\left( \frac{Q_1 + Q_2}{2} \right)} \div \frac{\left( P_2 - P_1 \right)}{\left( \frac{P_1 + P_2}{2} \right)} \]
- Ed: 需要の価格弾力性。
- Q1: 初期需要量(点A)。
- Q2: 最終需要量(点B)。
- P1: 初期価格(点A)。
- P2: 最終価格(点B)。
この公式は、価格変化に対する需要量の敏感さを測定します。需要量と価格の平均を用いることで、より正確な弾力性を得ることができます。
再び、需要グラフの同じ2点を使用します:
- 点A: 価格 = 10、需要量 = 100
- 点B: 価格 = 15、需要量 = 80
点Aから点Bへの弾力性(中点法):
需要の価格弾力性の公式を使用します:
\[ E_d = \frac{\left( Q_2 - Q_1 \right)}{\left( \frac{Q_1 + Q_2}{2} \right)} \div \frac{\left( P_2 - P_1 \right)}{\left( \frac{P_1 + P_2}{2} \right)} \]
値を代入します:
1. 差分:
- \( Q_2 - Q_1 = 80 - 100 = -20 \)
- \( P_2 - P_1 = 15 - 10 = 5 \)
2. 平均:
- \( \frac{Q_1 + Q_2}{2} = \frac{100 + 80}{2} = 90 \)
- \( \frac{P_1 + P_2}{2} = \frac{10 + 15}{2} = 12.5 \)
3. 公式への代入:
\[ E_d = \frac{-20 / 90}{5 / 12.5} = \frac{-0.2222}{0.4} \approx -0.5556 \]
点Bから点Aへの弾力性(中点法):
次に、点を逆にして計算します(点Bから点A):
1. 差分:
- \( Q_1 - Q_2 = 100 - 80 = 20 \)
- \( P_1 - P_2 = 10 - 15 = -5 \)
2. 平均:
- \( \frac{Q_1 + Q_2}{2} = \frac{100 + 80}{2} = 90 \)
- \( \frac{P_1 + P_2}{2} = \frac{10 + 15}{2} = 12.5 \)
3. 公式への代入:
\[ E_d = \frac{20 / 90}{-5 / 12.5} = \frac{0.2222}{-0.4} \approx -0.5556 \]
したがって、点Aから点B、または点Bから点Aの場合でも、需要の弾力性はおよそ-0.5556です。中点法では弾力性が対称であることが確認できます。
中点法は、変化の方向にかかわらず同じ結果を示すため、消費者が価格変化に対して等しく反応することをより明確に反映します。